白山ユネスコエコパークは、北緯約36度・東経約137度、日本列島の概ね中央に位置しています。
エリアの中心には百名山/標高2,702mの白山があり、白山頂周辺の高山帯や亜高山帯を核心地域に、それを取り囲む広大なブナ林を主とする森林地帯を緩衝地域に、その周りに広がる山村を移行地域に設定しています。
エリアは、4つの県と7つの市村にまたがっています。
・ 富山県/南砺市
・ 石川県/白山市
・ 福井県/大野市・勝山市
・ 岐阜県/高山市・郡上市・白川村
白山ユネスコエコパークの中心には、標高2,702mの霊峰白山が位置します。白山の特徴と言えば、高山植物、豪雪、ブナ林、山村、白山信仰等が挙げられます。日本の高山帯分布の最西端に位置し、世界で最も赤道に近い豪雪地帯の1つです。
この白山をとりまく白山ユネスコエコパークでは、白山の自然や文化の価値を守り伝える人々が、様々な取り組みや活動を行っています。
【白山が世界に誇るもの】
● 最前線としての、高山帯・豪雪地帯
● 白山の自然や文化の価値を守り伝える人々の取り組みや活動
1.高山であること
標高2,702mの白山は、高山帯を有する日本の山岳の中で最も西に位置している。その山塊は、日本列島の日本海側と太平洋側を隔てる脊梁山脈の一角を成す一方で、孤立峰ともなっている。
2.世界有数の豪雪地帯であること
白山は、冬季に日本海の水分を大量に含んだ北西の季節風を受け止め、山頂から山麓にかけて大量の雪を降らせる。日本だけでなく世界でも最も低緯度にある豪雪地の1つであり、その雪の殆どは春から夏にかけて解け出していく。
3.高山植物の宝庫であること
白山は、日本の高山帯の西端に当たるため、白山を日本国内の分布の西限又は南限とする高山植物が多い。また、山頂部では積雪の多寡や地形の形成に応じた多様な高山植物群落をみることができ、ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、ハクサンチドリ、ハクサンフウロなど、標準和名に「ハクサン」を冠する高山植物も多い。
4.多様な動植物を育む広大なブナ林があること
白山の山麓には広大なブナ林が広がり、ツキノワグマ、ニホンカモシカなどの大型哺乳類や、イヌワシなどの大型猛禽類が高い密度で生息している。
5.山村に適応した生活や文化を育んできたこと
白山の山麓では、豪雪によって生活や交通に大きな制約を受ける一方、製炭・狩猟・焼畑・養蚕などかつての生業(経済活動)をはじめ、世界文化遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」や白山市白峰重要伝統的建造物群保存地区などにみられるように、山の恵みを活かし、それに適応した持続可能な生活が営まれてきた。
6.4つの水系の源であること
白山に降り積もった雪は春から夏にかけて解け出し、庄川、手取川、九頭竜川、長良川の4水系に豊富な水を供給している。白山は、農業用水や発電用水、飲料水などを通じて多くの流域住民の生活を支える、水の源となっている。
7.人々の信仰を集めてきた山であること
白山は古くより多くの人々の信仰を集め、加賀・美濃・越前から開かれた登拝の道(禅定道)は多くの登拝者を迎え入れてきた。また、全国には2,700社以上とされる白山神社が建てられている。
8.白山の恵みを活かし、大切に守ってきた人々がいること
地域住民は白山の恵みを活かして生計を立て、その恵みに感謝する暮らしを営んできた。白山への感謝と畏敬の念は結果として、白山の自然を守ることにつながったものと考えられる。
【核心地域】
厳格に保護、長期的に保全されているエリアです。
【緩衝地域】
核心地域保護のために、教育・研修・エコツーリズムが行われているエリアです。
【移行地域】
人が生活し、自然と調和した持続可能な発展を実現するエリアです。
白山BRでは、ESDに資する環境教育や文化継承活動が各エリアで行われています。
その内容は様々であり、白山の自然と親しむ体験学習や、小学生や中学生、地域住民が主体の生物調査や保全活動、伝統文化を体験しながら継承していく活動などが挙げられます。それぞれの活動の対象や人数は様々ですが、10~30人の小学生や中学生を対象にしたものが多く、これらの活動は白山BRの各エリアで行われており、その数は50件以上あります。
例えば、小学生を対象とした、山中峠ミズバショウ群落の保全活動では、児童にミズバショウ群落の現状と課題を認識してもらい、ミズバショウ保全活動に関心をもってもらうことができました。
勝山市では、小学生が主体となった赤トンボのモニタリングや、希少植物の保全活動が認められ、すべての勝山市立小学校とすべての勝山市立中学校が、2014年にユネスコスクールに加盟しました。